冬に重機・現場車が動かない|バッテリー上がりを防ぐ冬支度【実務-020】

実務・現場ノウハウ
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こんにちは、信州どぼくまです。
今回は冬のバッテリー上がり対策について書きます。

冬の朝、現場に着いて重機のキーを回す。
「キュ……キュ……」で止まる。
この瞬間、その日の段取りが全部崩れます。

長野で17年、冬の現場をやってきました。
バッテリー上がりは冬に一番よく起きるトラブルで、しかも一番防ぎやすいトラブルでもあります。

この記事では、重機と現場車それぞれの対処法と、上がる前にやっておくことをまとめます。
2時間ロスした自分の失敗談も書きます。

前回の記事はこちら
【実務-017】注文住宅の諸費用はいくら?|内訳・支払い時期・費用を抑える方法

この記事でわかること

  • 冬にバッテリーが上がりやすい理由
  • 重機は12Vと24Vで対処がまったく違うこと
  • 上がってしまったときの現実的な始動方法
  • 上がる前にやっておく5つの対策
  • 現場車(ハイエース・軽バン)の冬支度

【体験談】深夜の降雪で2時間ロスした話

昔、今ほど装備が揃っていなかった頃の話です。

深夜、雪が降る中で除雪に出たくてもタイヤショベルがかからなくなりました。
現場では「タイヤブル」と呼んでいる、あの機械です。

結局その場でジャンプスタートすることになったのですが、これがうまくいかない。

  • 降雪や夜間で視界が悪く、手元がよく見えない
  • ジャンプコードが物理的に場所が悪く届かない
  • そもそも機械を寄せられる位置に停めていなかった

コードが届かないというのが一番きつい。
ジャンプする側の車両を、バッテリーのすぐ横まで持っていかないといけないのに、そこに寄せられない。

結果、作業開始が2時間近く遅れました。
雪の中で2時間です。体も冷えるし、その日の段取りは全部後ろにずれる。

このとき学んだのは、上がってからでは遅いという当たり前のことでした。
以降、後で書く対策を全部やるようになりました。


冬にバッテリーが上がりやすい理由

理由は単純で、寒いとバッテリーの性能が落ちるからです。

  • 低温で化学反応が鈍り、出せる電力が下がる
  • 一方でエンジンオイルが硬くなり、始動に必要な電力は増える
  • ライトやヒーターの使用も増える

出せる力が減って、必要な力が増える。だから冬に集中します。

もうひとつ、見落としがちなのが停めている間の放電です。
エンジンを止めていても、機械はわずかに電気を使い続けています。
数日置いただけで弱ることがあるのは、これが理由です。


重機は12Vと24Vで対処がまったく違う

ここが一番大事なところです。
知らずにジャンプスターターだけ持っていくと、現場で詰みます。

小型重機大型重機
電圧12V仕様が多い24V仕様
ジャンプスターター小型のもので十分対応できる対応しない
現実的な始動方法ジャンプスターター他の24V重機からジャンプ/バッテリーカー

小型重機(12V)

市販の小型ジャンプスターターで十分対応できます。
1台積んでおけば、現場車と兼用できるのも良いところです。

大型重機(24V)

普通のジャンプスターターでは動きません。
ここを勘違いしていると、道具を持っているのに始動できないという状況になります。

現実的な手段は2つです。

  • 他の24V重機からジャンプする(同じ電圧の機械を横に寄せる)
  • バッテリーブースターを使う

そして重要なのが、バッテリーブースターの充電を切らさないこと。
冬はバッテリー問題が本当によく起きるので、うちでは常に充電した状態で置いています。
いざというときに空だった、では意味がありません。

※12V用の機器を24Vにつなぐ、あるいはその逆は、機器の破損や事故につながります。作業前に必ず電圧を確認してください。接続の順序と極性も、機械の取扱説明書に従ってください。


上がる前にやっておく5つの対策

2時間ロスして以降、うちでやっていることです。

①バッテリースイッチで駐車時に電源を切る

バッテリーにスイッチを付けて、停めるときに電源をカットします。
停止中の微妙な放電がなくなるので、これが一番効きます。

※機種によっては、盗難アラームの関係で切れない場合があります。導入前に確認してください。

②2年に1回は交換してしまう

「まだ使えるか」という判断を、冬の現場でやりたくありません。

降雪の日や深夜に止まるのが一番怖い。
だから多少もったいなくても、2年に1回は交換してしまいます。

バッテリー1個の値段と、朝2時間止まったときの損失を比べれば、答えははっきりしています。
職人さんの手待ちも発生しますし、工程も後ろにずれる。交換したほうが安いです。

※一人で対処できる人ならいいですが、だいたいトラブル時はだれか応援よろしくや、タイヤブルがエンジンかからないから見に来てなど複数人で対応すると目も当てられません。

③冬しか使わない機械も2か月に1回は始動する

冬の除雪でしか出番のないタイヤショベルなどは、置きっぱなしになりがちです。

これを2か月に1回はエンジンをかけるようにしています。
いざシーズンが始まってから「かからない」となるのが一番困るので。

④駐車位置を「ジャンプできる向き」で決める

これは2時間ロスした経験から始めたことです。

バッテリーがある側に、壁や障害物が来ないように停める。
これだけで、いざというときにジャンプする車両を横付けできます。

ジャンプコードは思っているより短い。
「万が一のときに、ここに車を寄せられるか」を停める瞬間に一度考えるだけです。手間はゼロです。

⑤雪と結露から機械を守る

バッテリー以外にも、朝の立ち上がりを速くする小技があります。

  • 燃料キャップにカバーをかける:結露や雪の侵入を防ぎ、燃料の凍結を抑えます
  • サイドミラーに袋をかける:翌朝の視界確保が段違いに楽になります。土のう袋でも十分です
  • 大雪の予報なら車体カバーかブルーシート:現場内の除雪がかなり楽になります

正直、毎回やるのは面倒です。
ただやるかやらないかで、朝のスタートがまるで変わります。


現場車の冬支度

重機だけでなく、ハイエースや軽バンにも冬前の準備があります。

バッテリーの電圧を測る

  • 12V車なら12.6V前後が正常
  • 12.4V以下は注意。冬を越せない可能性があります
  • 寿命の目安は3〜5年

※補充液を入れないタイプは、前触れなく突然弱ることがあります。「まだ大丈夫そう」が通用しないので、年数で判断するほうが安全です。

スタッドレスの交換時期

  • 残り溝4mmを切ると冬性能が落ちます(新品は約9mm)
  • ゴムは経年で硬くなるので、5年以上なら溝があっても要注意

私の場合は走行距離が多く、1〜2シーズンで残り4〜5mmまできてしまうので、次のシーズン前に交換しています。
履き替えのタイミングは10月下旬から11月上旬。長野だと、これくらいで最初の寒波に間に合います。

▼タイヤの規格や選び方はこちらで詳しく書いています。
【車両-021】ハイエース タイヤの選び方|LT規格とは?夏冬スタッドレス比較
【車両-020】軽バンのタイヤ選び|145R12の規格とスタッドレス比較

軽油は寒冷地仕様を入れる

軽油には夏用と寒冷地用があります。
暖かい地域で入れた軽油を寒冷地に持ち込むと、凍ってエンジンが止まることがあります。

毎年、スキー場で県外ナンバーの車が動けなくなっている光景を見ます。
寒い地域に入る前に、現地で給油しておくのが確実です。

ウォッシャー液とワイパー

  • 水道水や薄めた通常品は凍って出なくなります
  • -20〜-30℃対応の寒冷地仕様に入れ替える
  • ワイパーも冬用に替えると具合がいいです

冬は融雪剤でガラスが真っ白になります。
ウォッシャーが出ないと、前が見えないまま走ることになる。ここは軽視できません。

4WDを一度作動させておく

切り替え式4WD車で普段2WDで走っていると、切り替えが固着して動かないことがあります。
雪が降ってから気づくと手遅れなので、秋のうちに一度切り替えてみてください。

※ハイエースのようにフルタイム4WDの場合は大丈夫かと思います。


この記事のまとめ

  • 大型重機は24V。普通のジャンプスターターでは始動できない
  • バッテリーカーは常に充電しておく
  • バッテリースイッチで駐車時の放電を止める
  • 2年に1回交換したほうが、作業ロスより安く済む
  • 停める向きは「ジャンプできるか」で決める
  • 現場車は電圧・スタッドレス・軽油・ウォッシャー液・4WDを秋に確認

冬のバッテリー上がりは、運ではありません。
秋のうちに手を打っておけば、ほとんど防げます。

雪の中で2時間止まるくらいなら、バッテリーを1個替えたほうがずっと安い。
あの夜以来、そう思っています。

次の記事の紹介と、関連リンクです。
【実務-024】雪の日の現場段取り|除雪・排雪・資材の養生を前日に決める
【車両-019】ハイエースの除雪はこうする|屋根の雪下ろしとスノーブラシ選び
【実務-010】工事現場の防寒対策|17年の現場監督が選ぶ防寒具と暖房機器

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ほか参考記事リンク

※2026/8 内容を全面的に見直しました

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