注文住宅の諸費用はいくら?|内訳・支払い時期・費用を抑える方法【実務-017】

実務・現場ノウハウ
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こんにちは、信州どぼくまです。
今回は注文住宅の諸費用について書きます。

「本体価格3,500万円」と聞くと、それで家が建つと思ってしまいます。
でも実際に契約まで進むと、そこに数百万円が上乗せされていきます。

私は長野県で土木の現場監督を17年やってきました。
工事の相場は分かっているつもりでしたが、それでも家づくりの見積もりを見たときには「ここも別扱いなのか」と思う場面が何度もありました。

この記事では、諸費用の内訳・支払い時期・ローンに組み込むかの判断・抑え方を、実際の金額を出しながらまとめます。

前回の記事はこちら
→【実務-046】現場監督の家計管理|固定費・住宅ローン・投資の考え方

この記事でわかること

  • 注文住宅の諸費用の内訳と目安
  • 諸費用をいつ・いくら払うのか
  • ローンに組み込むべきかの判断基準
  • 外構・地盤改良・オプションで膨らむ理由
  • 費用を抑える現実的な方法
  • 建てた後にかかり続けるお金

注文住宅の諸費用とは?本体価格に含まれないもの

まず整理しておきます。
家づくりの費用は、大きく3つに分かれます。
割合は一般的に言われている目安で、土地の条件や仕様によってかなり動きます。

区分中身一般的な割合の目安
本体工事費建物そのものおよそ7割
付帯工事費外構・地盤改良・給排水引込・解体などおよそ2割
諸費用登記・ローン保証料・火災保険・税金などおよそ1割

広告に大きく出ているのは本体工事費だけです。
残りの3割は、契約が進んでから順番に見えてきます。

諸費用の内訳一覧

  • 登記費用(表示登記・保存登記・抵当権設定)
  • ローン保証料・事務手数料
  • 火災保険料・地震保険料
  • 印紙税・不動産取得税・固定資産税の精算
  • つなぎ融資の金利と手数料
  • 地鎮祭・上棟の費用
  • 引越し費用・家具家電・カーテン・照明

最後の「引越し・家具家電・カーテン・照明」を忘れる人が多いです。
ここだけで数十万円は動きます。


注文住宅の諸費用はいくら?実際にかかった金額

一般的には本体価格の1割前後と言われます。
ただ、これは狭い意味での諸費用の話です。

私が実際に見積もりを積み上げていったときの感覚は、こうでした。

項目実際にかかった金額
諸費用(登記・保険・保証料ほか)約150万円
設備オプション100万円以上
つなぎ融資の金利(土地から建てる場合)30〜50万円
駐車場コンクリート(1台分)30〜40万円

合計すると、本体価格に200〜300万円を上乗せして考えるのが現実的です。
これは特別に贅沢をしたわけではなく、普通に建てるとこうなります。

※金額は2026年時点・長野県での実例です。地域と時期で変わります。特にここ数年は資材価格の影響が大きく、同じ仕様でも数年前とは金額が違います。

▼建築費が上がっている背景は、こちらで現場側から書いています。
【実務-062】現場が止まる|イラン情勢・ナフサショックで建設資材が手に入らない


諸費用はいつ払う?支払いのタイミング

ここが一番わかりにくいところだと思います。
諸費用は引渡しのときに一括、ではありません。建築の進み方に合わせて、何回かに分かれて出ていきます。

時期主に出ていくお金
契約時契約金・印紙税
着工時着工金・地鎮祭・地盤改良費
上棟時中間金・上棟の費用
引渡し前登記費用・火災保険・ローン保証料
引渡し後外構・カーテン・照明・引越し・不動産取得税

問題は、住宅ローンの実行は引渡し時だということです。
それより前に出ていく着工金や中間金は、手持ちの現金かつなぎ融資で払うことになります。

土地から購入する場合、つなぎ融資の期間が長くなるぶん金利も増えます。
ここで30〜50万円かかることを見込んでいないと、引渡し前に資金が足りなくなります。

※不動産取得税は引渡しから数か月後に通知が来ます。忘れた頃に届くので、現金を残しておいてください。


諸費用はローンに組み込むべきか

最近は諸費用まで借りられる住宅ローンが増えました。
手持ち資金が減らないので魅力的に見えます。

ただ、組み込めるものと、組み込まないほうがいいものがあります。

組み込む組み込まない
手元の現金減らない減る
総支払額金利分だけ増える増えない
向いているもの登記・保証料など必須の費用外構・エアコン・家具家電

100万円を35年ローンに入れると、返済総額はかなり膨らみます。
あとから自分で手配できるものは、ローンに入れないほうが得です。

特に外構とエアコンは、引渡し後に別で頼めます。
急ぐ必要がなければ、住み始めてから手配しても困りません。
外構をローンに入れず、あとから相見積もりを取って進めるほうが、結果的に安く収まることが多いです。


見落としやすい3つの追加費用

①外構工事は見積もりに入っていないことが多い

駐車場のコンクリート、カーポート、フェンス、門柱。
これらは建物価格とは別扱いになることがほとんどです。

  • 駐車場コンクリート1台分:約30〜40万円
  • 積雪対応のカーポート:70万円前後
  • 境界フェンス:延長と仕様しだいで数十万円

標準で「土間コン2台分まで」と決まっていて、それを超えた分は追加、という形が多いです。
土木をやっている立場から見ると、この追加分の単価は正直それなりに高いと感じます。材料費と手間を知っているぶん、余計にそう思うのかもしれません。

※契約前に「標準でどこまで入っているか」を必ず面積で確認してください。「2台分」ではなく「何m2まで」で聞くのがコツです。

②地盤改良費は予算外になりやすい

地盤調査の結果しだいで、改良工事が必要になります。
数十万円で済むこともあれば、100万円を超えることもあります。

厄介なのは、調査は契約後にやることが多いという点です。
つまり「いくらかかるか分からないまま契約している」状態になります。

※契約前に「地盤改良が必要になった場合の上限」か「概算の見込み」を確認しておくと安心です。近隣の造成履歴が分かるなら、そこも聞いてみてください。

③設備オプションは気づくと100万円を超える

標準仕様のままで満足できる人は、あまりいません。

  • キッチンのグレードアップ
  • 浴室の追加機能
  • 窓の断熱性能
  • エアコンの追加
  • コンセントとLAN配線の増設

一つひとつは数万円でも、積み上がると100万円を超えます。

ここで一つ、はっきり差が出た例があります。
エアコンです。

2階に8畳用を1台。
住宅会社の見積もりでは約30万円でした。

理由は単純で、住宅会社のカタログには寒冷地用(夏冬どちらも使うモデル)しか載っていなかったからです。
長野なので寒冷地仕様が標準になるのは分かります。
ただ、その部屋は夏の冷房にしか使わない前提でした。

冷房だけでいい部屋に、暖房性能の高いモデルを入れる必要はありません。
同じ8畳用でも、家電量販店で普通のモデルを買えば工事費込みで15万円前後です。
1台で15万円の差。台数が増えれば差はそのまま倍になります。

ポイントは「安いものを選ぶ」ではなく、部屋ごとに何に使うのかを決めてから機種を選ぶことです。
寝室の冷房専用と、リビングの暖房も兼ねる1台では、必要な性能がまったく違います。

ただし注意点もあります。
引渡し前に他業者を入れられるかは住宅会社の判断になりますし、配管の取り回しを綺麗にするには建築側との調整が必要です。
安さだけで別手配にすると、見た目や工程で困ることがあります。
頼むなら、建築の工程を分かっている電気屋さんに相談するのが確実です。

※コンセントとLAN配線だけは、あとから足すのが一番高くつきます。ここはケチらないほうがいいと思います。


諸費用を抑える6つの方法

①外構を分けて考える

住宅会社にまとめて頼むと楽ですが、外構専門の業者に相見積もりを取ると金額が変わります。
建設業で働いている方なら、自社に相談するのも現実的です。

「暇なときにやってくれればいい」「他の現場の段取りに合わせてほしい」という頼み方なら、会社も動きやすいはずです。
従業員の家なら会社としても悪い話ではありません。

②ネット銀行も含めて金利を比較する

ネット銀行は店舗型より金利が低いことが多いです。
手続きの手間はありますが、35年で考えると差は大きい。

一方で、普段から給与振込などで付き合いのある地銀や信金には、優遇を受けやすい仕組みがあります。
「ネット銀行が常に有利」とも限らないので、両方見てから決めてください。

③火災保険は自分で選ぶ

住宅会社が代理店として提案してくれることが多いですが、そのまま契約する必要はありません。
ネット型の保険は保険料がかなり違います。

比較するときは、水災を付けるかどうかで金額が大きく変わります。
まずハザードマップで自分の土地を確認してから判断してください。

大事なのは自分の地域に合った条件にすることです。
不安だからと補償を盛るほど保険料は上がります。
起こりにくい災害まで手厚くしても、保険料が高くなるだけでもったいない。
逆に、必要な補償を削るのは論外です。土地の条件を見て、必要なものだけ付ける。これに尽きます。

④引渡し後でいいものは後回しにする

カーテン、照明、外構、カーポート。
住み始めてからでも困らないものは、引渡し後に回せば資金繰りが楽になります。

砕石を敷いただけの状態でも駐車はできます。
「完璧な状態で入居しなければいけない」と思い込む必要はありません。

⑤引越しは相見積もりを取る

引越し費用は、同じ荷物でも会社によって金額が倍近く違うことがあります。
3社ほど見積もりを取ると相場が見えます。

大物家電だけ業者に頼んで、あとは自分で運ぶという分け方もあります。
軽トラが借りられる環境なら、これがかなり効きます。


⑥早い段階で総額の見積もりを出してもらう

ここまで書いてきたことを一言でまとめると、本体価格だけの見積もりでは判断できないということです。

外構がいくらか。地盤改良が必要か。オプションをどこまで入れるか。
これが分からないまま話を進めると、契約したあとに金額が積み上がっていきます。

一番いいのは、早い段階で複数社から総額ベースの見積もりをもらうことです。
1社だけだと、その金額が高いのか安いのか判断できません。
2社3社と並べて初めて、どこにお金がかかっているのかが見えてきます。

これは工事の見積もりを取るときとまったく同じです。
私たちも、金額の妥当性を見るときは必ず複数社に当たります。
1社の見積もりだけを見て「こんなものか」と思うのが、一番損をします。

※住宅展示場を回るのが早いように思えますが、1日に回れるのはせいぜい2〜3社です。しかも営業がついてしまうので、まだ比較したいだけの段階だと動きにくくなります。

家づくりの相談窓口を使うという方法もあります。
特定の住宅会社に属さない立場で、予算の考え方や優先順位を整理してくれるサービスです。

注文住宅に限らず、建売や中古も含めて選択肢を並べてくれるので、「そもそも注文住宅でいいのか」という段階から相談できます。
相談は無料で、その場で契約を迫られるものでもありません。

※対応エリアは埼玉・東京・神奈川が中心です。私は長野なので対象外でした。
お住まいの地域が対象かどうかは、公式サイトで確認してください。

▼公式サイトはこちら。

すまいのいろはPlus

住宅ローンの組み方で失敗しないために

諸費用の話と切り離せないのが、ローンの組み方です。
ここは短くまとめます。

「借りられる額」ではなく「返せる額」で決める

金融機関が出してくる上限額は、あくまで貸せる額です。
共働きなら、片方の収入だけで返せる額に抑えておくと、あとが楽になります。

ボーナス払いは前提にしない

ボーナスは会社の業績次第で変わります。
毎月の給料で返せる範囲に収めて、ボーナスは繰り上げ返済や余裕資金に回すほうが安心です。

ペアローンは慎重に

共働き世帯によく提案されますが、名義と返済が2本になるぶん、あとで動かしにくくなります。
私は単独ローンのほうがシンプルで良いと考えています。

団信の上乗せ特約は金利差で判断する

三大疾病特約や就労不能特約は、安心感はあります。
ただ金利が0.1%上がるだけでも、35年では総返済額がかなり増えます。

保険はローンと切り離して、生命保険や収入保障保険で組んだほうが柔軟です。
もちろん、これは考え方の一つです。手厚くしておきたい人はそれで構いません。

審査は「安定して返せるか」だけを見られる

会社員なら勤続年数、経営者なら役員報酬と決算内容。
見られているのは安定した収入があるかという一点です。

転職直後や勤務1年未満だと審査は厳しくなります。
逆に言えば、数年勤めてから申し込むほうが確実です。

▼仕事道具や車のローンと住宅ローンの関係は、こちらで整理しています。
【実務-015】住宅ローンと仕事道具・車の関係|個人ローンと経費は別物


建てた後にかかり続けるお金

諸費用は入口の話です。
家は建ててからも、お金がかかり続けます。

  • 固定資産税(毎年)
  • 火災保険の更新
  • 外壁・屋根の塗装(10〜15年ごと)
  • 給湯器・水回りの交換

現実的には、月2〜3万円の修繕積立を別枠で確保しておかないと、10年後に慌てることになります。
これは生活防衛資金や教育費とは別に考えるべきお金です。

もう一つ、正直に書いておきます。
35年ローンを完済する頃には、どれだけ丁寧に手入れしていても建物の資産価値はほぼゼロです。残るのは土地です。

これは「家を建てるな」という話ではありません。
ただ、資産として増えるものではなく、住むために買うものだと理解したうえで金額を決めたほうが、判断を間違えにくいと思っています。


この記事のまとめ

  • 本体価格に200〜300万円の上乗せを見込んでおく
  • 諸費用は引渡し時の一括ではなく、何回かに分けて出ていく
  • 外構・エアコン・家具はローンに入れず後から手配する
  • 外構の標準範囲は「台数」ではなく「m2」で確認する
  • ローンは「借りられる額」ではなく「返せる額」で決める
  • 建てた後の修繕積立は月2〜3万円を別枠で

家づくりは、本体価格だけを見ていると必ずどこかで足りなくなります。
最初から総額で考えておけば、途中で慌てることはありません。

本体価格の1割ではなく、2〜3割の上乗せ。
この感覚だけ持っておけば、家づくりの途中で資金が足りなくなることはまずありません。

次の記事の紹介と、関連リンクです。
【実務-015】住宅ローンと仕事道具・車の関係|個人ローンと経費は別物
【実務-008】建設業と保険の考え方|現場監督から経営者になって見直した話
【実務-045】現場監督と家庭の両立|独身・結婚・子育てで変わった働き方

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※2026/8 住宅ローン関連の記事を1本に統合し、構成を全面的に見直しました。

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