暑中コンクリートの施工管理|現場監督が打設手順と養生のやり方を解説【実務-069】

実務・現場ノウハウ
当サイトの記事には、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングなどのアフィリエイトリンクを利用しています。
リンクから商品をご購入いただくと、サイト運営の応援につながります(購入者さまのご負担は一切ありません)。
サーバー代や記事作成の励みに活用させていただきますので、ご理解いただけると嬉しいです。
詳細は 免責事項・利用規約・広告ポリシー をご確認ください。

こんにちは、信州どぼくまです。
今回は暑中コンクリートの施工管理について書きます。

夏場の現場で「今日、コンクリート打てるのか?」と判断に迷ったことはないですか。
気温が上がるとコンクリートの品質は一気に管理しにくくなります。
打設後に強度不足やひび割れが出てからでは遅い。

事前準備から実際の養生のやり方まで、現場監督目線でまとめました。
施工管理試験の頻出テーマでもあるので、受験生の方にも使える数値・基準値もあわせて整理しています。

前回の記事はこちら
建設業の残業はどれくらい?|現場監督のリアルな実態と2024年規制後の変化【実務-068】

▼夏の暑さ対策グッズ記事はこちら
【実務-070】【2026年】建設現場の暑さ対策グッズ10選|現場監督の実体験で厳選

この記事でわかること

  • 暑中コンクリートの定義と適用条件(気温の基準)
  • 高温時に起きる品質リスクとそのメカニズム
  • 打設前準備・材料・運搬・打設・養生の管理手順
  • 実際の現場での養生のやり方(部位別)
  • 品質管理の数値一覧(土木・建築の基準の違い)
  • 施工管理試験の頻出ポイント

暑中コンクリートとは

暑中コンクリートとは、日平均気温が25℃を超えることが予想される期間に施工するコンクリートのことです。

土木学会「コンクリート標準示方書[施工編]」では
「日平均気温が25℃を超える時期に施工することが想定される場合」

JASS5(建築工事標準仕様書)では「日平均気温の平年値が25℃を超える期間」
と規定されています。

表現は若干異なりますが、いずれも日平均気温25℃超が基準です。
一般的には6月下旬〜9月上旬ごろが対象時期となります(地域差あり)。
最近ですと夏が長く感じるときもあり10月でも真夏日になったりと対象時期はまちまちです。

なお、2023年制定の土木学会コンクリート標準示方書[施工編]では、新たに「35℃を超える暑中コンクリート」の章が設けられました。
近年の猛暑を踏まえ、打込み温度が35℃を超えるケースへの規定が整備されています。
信州(長野)でも盆地の現場では夏場に35℃を超えることがあり、油断は禁物です。

暑中時のコンクリートに起きるリスク

なぜ夏場のコンクリートはそれほど管理が難しいのか。主なリスクを整理します。

①スランプの低下(ワーカビリティの悪化)

気温が高いと水分の蒸発が早まり、練混ぜ直後からスランプが低下します。
運搬中も低下が続くため、荷卸し時点で規定値を確保できないというトラブルが起きやすくなります。

②凝結の促進(コールドジョイントのリスク)

高温下では水和反応が加速し、凝結が通常より早まります。
打継ぎのタイミングが遅れると、先に打ったコンクリートが硬化してしまいコールドジョイントが発生します。
コールドジョイントは強度・水密性の大きな欠陥になるため、絶対に避けなければなりません。

③現場加水による強度低下

スランプを確保しようと現場で水を足してしまうと、単位水量が増加して水セメント比(W/C)が悪化し、強度低下につながります。
これは絶対にNGです。スランプ不足のコンクリートは受入れ拒否が正解です。

④初期強度の過剰発現と長期強度の低下

高温環境での急激な水和反応は、短期的な強度発現を早める一方、長期強度が低下する「異常凝結」につながることがあります。
初期養生が不十分だと、ひび割れや強度不足が後から現れやすくなります。

打設前の計画・準備

打設時刻は早朝に設定する

最も効果的な対策のひとつが早朝打設です。
気温・日射ともに低い早朝に打設を開始し、日中の高温時間帯を避けることでスランプ低下やコールドジョイントのリスクを大幅に減らせます。

段取りは大変ですが、夏場の品質管理においては早朝打設が一番現実的で確実な手段です。
プラントや運搬業者との調整も含め、前日までに段取りを完結させておくことがポイントです。

※昨今では気象条件の急変で前日に配達キャンセルでもキャンセル料を請求があったりと段取りは細かく見ておいたほうがいいです。

型枠・鉄筋・地盤への散水と日射遮蔽

打設前には型枠・鉄筋・地盤に散水して温度を下げておきます。
ただし型枠内に水が残った状態で打設してはいけません
打設直前に余分な水を取り除くことも忘れずに確認しましょう。
直射日光が当たる型枠にはシートを被せて日射遮蔽を行うことも有効です。

生コンプラントとの事前打ち合わせ

暑中コンクリートはプラント側での配合設計も重要です。
以下の点を事前に確認・協議しておきましょう。

  • 練混ぜ水の温度(冷水・氷の使用の有無)
  • 骨材の温度管理(日陰保管・散水の状況)
  • AE減水剤・遅延型混和剤の使用
  • 荷卸し時のスランプ設定(低下を見込んだ配合調整)
  • アジテータ車への遮熱ドラムカバーの装着

なかなか細かい調整は難しいし面倒な会社に思われるかもしれません。
公共工事の場合、設計書の配合に加えここまで暑中コンクリートに関して気を使ったんですけど、というアピールにもなるかもしれません。
※できるできないは置いておきます。

材料・配合の管理

コンクリート温度は35℃以下

暑中コンクリートでは、コンクリート温度を35℃以下とすることが求められます。ただし基準点が示方書によって異なります。

  • 土木学会コンクリート標準示方書:打込み時の温度を35℃以下
  • JASS5・公共建築工事標準仕様書:荷卸し時の温度を35℃以下

運搬中に温度が上昇することを見込み、プラントでの練混ぜ時から温度を抑える対策が必要です。聞いた話では、練混ぜ水に氷を使用したり、骨材に散水して温度を下げるのが代表的と伺ったことはありますが実践した現場は私は見たことありません。
※そのくらい大きコンクリートを使う現場見てみたいです。

荷卸し時に温度計で実測して確認することも習慣にしましょう。

単位水量の上限(土木と建築で値が違う)

細かい話にもなりますが、単位水量の上限は、土木と建築で規定値が異なります。混同しやすいので整理します。

  • 土木学会コンクリート標準示方書:175kg/m³以下(粗骨材20mm)/165kg/m³以下(40mm)
  • JASS5(建築):185kg/m³以下

いずれにせよ、スランプが低下していても現場で加水することは厳禁です。
加水すると水セメント比が悪化し、強度低下・ひび割れにつながります。
規定値を下回ったコンクリートは受入れ拒否・返品で対応するのが正しい判断です。

遅延型AE減水剤の活用

暑中コンクリートでは凝結促進を抑えるために遅延型のAE減水剤を使用するケースもあります。
使用する混和剤の特性・使用量はプラントと事前に確認し、配合計画書で把握しておきましょう。

運搬・打設時の管理

練混ぜから打設完了までの時間

気温が高いほどスランプ低下と凝結が速く進むため、運搬時間の管理が重要です。
規定は次のとおりです。

  • JASS5:練混ぜから打込み終了まで、外気温25℃未満で120分以内、25℃以上で90分以内
  • 土木学会示方書:練混ぜから打設終了まで1.5時間(90分)以内が原則

夏場は実質「90分以内」が目安です。
これを守るための段取りがポイントになります。

  • プラントと現場の距離を事前確認(理想は30〜40分程度)
  • ミキサー車の台数を増やして待機時間を削減
  • 打設リズムを事前にシミュレーションして段取り

コールドジョイント防止のための打設速度管理

コールドジョイントを防ぐには、前に打ったコンクリートが凝結し始める前に次の層を打ち込む必要があります。
打設計画の段階で、1回の打設量・打設速度・使用するバイブレーターの台数を具体的に決めておきましょう。
現場合わせで判断していると、コールドジョイントは防ぎようがありません。

荷卸し検査の徹底

各車ごとに以下を確認します。省略はNGです。

  • スランプ(規格値内か)
  • 空気量(AE材が効いているか)
  • コンクリート温度(35℃以下か)
  • 塩化物量

規定値を外れているものは毅然として受入れ拒否することが現場監督の役割です。

実際の現場での養生のやり方(部位別)

ここからは、教科書的な基準ではなく「実際に現場でどう養生するか」を部位別にまとめます。
暑中で一番効くのは、ここの段取りです。

大原則:養生は「打設当日」から始める

養生は翌日からでいい、と思っていると痛い目に遭います。
打設当日の日中・夜間に表面が急乾燥し、夜のうちにひび割れが入ることがあります。
仕上げが終わって表面を荒らさずに作業できる硬さになったら、その日のうちに養生に入るのが鉄則です。

土間・床・舗装版

露出面積が大きく、最も乾きやすい部位です。

  • 仕上げ直後はまず日覆い(ブルーシート等)で直射日光・乾燥風を遮断する
  • 表面が荒れない硬さになったら散水し、養生マット(保水マット)や養生シートで覆う
  • 面積が広い場合は湛水(冠水)養生も有効。周囲をモルタル等で堰き止めて水を張り、湿潤状態を保つ

※散水が難しい大面積では膜養生剤を散布し、被膜で水分の逸散を防ぐ方法もあるらしいです

壁・柱・梁(型枠あり)

型枠が付いている間は、それ自体が乾燥・日射からの保護になります。

  • 型枠を存置している間は、型枠の上から散水して木枠・鋼製型枠の温度上昇を抑える
  • 脱型後は露出面が一気に乾くため、すぐに散水し養生マットや湿布で覆う
  • 「脱型=養生終了」ではない点に注意。所定の湿潤養生期間が終わるまでは保湿を続ける

法面・のり枠・均しコンクリート

鉛直・傾斜面は水が流れ落ちて乾きやすいため、保水性のある養生マットで覆い、定期的に散水するのが基本です。

散水の頻度と省人化

夏場は水がすぐ蒸発するため、表面が乾く前に散水するのがポイントです。
朝・昼・夕など1日複数回が目安で、養生マットを併用すれば給水回数を減らせます。

人手が割けない現場では、自動散水システム(養生の自動給水装置)をレンタルで導入する方法もあります。
夜間・休日の給水を自動化でき、省人化と乾燥防止を両立できます。
猛暑日や少人数の現場では現実的な選択肢です。

昔おこなった山間部の現場では週末にコンクリート舗装を打設
→休日である翌日の土曜の朝に散水し現場離れる。昼に来て散水。夕方きて散水。
→また翌日の日曜に土曜と同じことの繰り返し。

寒中コンクリートの時のような付きっきりな管理になったことも何回かあります。
関連記事はこちら
寒中コンクリート施工の注意点|現場での実体験と学び【実務-022】

湿潤養生の期間

養生期間はセメントの種類で決まります。

  • 普通ポルトランドセメント:5日以上
  • 早強ポルトランドセメント:3日以上
  • 中庸熱ポルトランドセメント:7日以上

「暑いから早く乾く=養生も早く切り上げていい」という判断は誤りです。むしろ通常より乾きやすいぶん、確実に期間を確保することが重要です。なお、養生中に冷水を大量にかけるなど急激な冷却はひび割れの原因になるため避けましょう。

品質管理の数値まとめ

現場管理・試験対策の両方で使える基準値を一覧にまとめます。土木と建築で値が違う項目に注意してください。

管理項目土木(土木学会示方書)建築(JASS5)
適用条件日平均気温25℃超
コンクリート温度35℃以下打込み時荷卸し時
単位水量の上限175kg/m³(20mm)・165kg/m³(40mm)185kg/m³
練混ぜ〜打設完了1.5時間以内が原則25℃以上で90分/25℃未満で120分
湿潤養生(普通ポルトランド)5日以上

施工管理試験の頻出ポイント

1級・2級土木施工管理技士の試験では、暑中コンクリートは毎年のように出題されます。
寒中コンクリートとセットで比較問題として出ることも多いため、対比して覚えておくと効率的です。

  • 適用条件は「日平均気温25℃超」(「30℃」「20℃」との引っかけに注意)
  • 打込み温度は「35℃以下」(「30℃以下」との引っかけに注意)
  • スランプ低下があっても現場加水は絶対NG(受入れ拒否・返品が正解)
  • コールドジョイント防止:運搬時間短縮と打設速度の管理がポイント
  • 湿潤養生は通常より長め(5日以上)に設定する
  • 単位水量は土木175/165・建築185(増やしてはいけない)

この記事のまとめ

  • 暑中コンクリートは日平均気温25℃超が適用条件
  • コンクリート温度は35℃以下(土木=打込み時/建築=荷卸し時)
  • 単位水量の上限は土木175/165・建築185。現場加水は絶対NG
  • 養生は打設当日から開始し、部位に応じて散水・マット・湛水を使い分ける
  • 湿潤養生は普通ポルトランドで5日以上、確実に期間を確保する

夏場のコンクリート打設は段取り8割です。
プラントとの事前打ち合わせ、打設時刻の設定、養生材料の準備
——これを前日までに完結させておくことが、品質確保の一番の近道です。
試験でも現場でも、数値と手順をセットで覚えておきましょう。

次の記事の紹介と、関連リンクです。
【実務-070】【2026年】建設現場の暑さ対策グッズ10選|現場監督の実体験で厳選
【工具-002】HiKOKI vs マキタ|現場で選ばれる電動工具メーカー比較とおすすめ機種

🟢 実務カテゴリの一覧はこちら
【実務カテゴリTOPへ】

ほか参考記事リンク

コメント