現場が止まる|イラン情勢・ナフサショックで建設資材が手に入らない【2026年現場監督の本音】【実務-062】

実務・現場ノウハウ
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こんにちは、信州どぼくまです。今回は2026年現在、建設現場を直撃しているナフサショック・資材不足の実態と、実際に自分が取った対処法について書きます。

前回の記事はこちら
→ ※記事予定 【実務-061】家の敷地を駐車場にしたい④|外注業者の選び方(失敗しない見積と保証)

この記事でわかること

  • なぜ今、建設資材が手に入らないのか(ナフサ問題の基本)
  • 現場に直接影響している資材の実態(塩ビ管・プレスト管・合材など)
  • ダンプの白ナンバー問題と現場入場制限
  • インフレスライド・単品スライドの判断ポイント
  • 信州どぼくまが実際に取った対処法

そもそもなぜ資材が入らないのか|ナフサショックを現場目線で解説

2026年2月28日、米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃をきっかけに、ホルムズ海峡が事実上封鎖されました。
日本の原油輸入の約9割がこのルートを経由しているため、石油化学製品の原料となる「ナフサ」の供給が激減しています。

ナフサは建設現場で使う資材の多くに関係しています。
塩ビ管・断熱材・塗料・防水シート・接着剤・シンナー

これらはすべてナフサを起点とした石油化学製品です。
「中東の話は関係ない」と思っていた現場も、気がつけば資材調達が詰まってきている状況です。

重要なのがナフサの備蓄量です。原油は約8ヶ月分の国家備蓄がありますが、ナフサは備蓄対象外で民間在庫は約2〜3週間分しかありません。「総量は足りているのに現場が止まる」という事態が起きているのはこの構造的な問題が原因です。

現場に直撃している資材別の実態(2026年4月時点)

塩ビ管・プレスト管|一番困った資材

正直に言うと、今回の資材不足で私が一番困ったのが塩ビ管とプレスト管でした。

注文しても「納期未定」という回答が続き、仲卸が抱えている在庫のみが頼りという状況になりました。
給排水・排水工事や護岸工事 等々には欠かせない資材なので、これが入らないと本当に現場が止まります。

信越化学・積水化学・クボタケミックスなどが4月以降15〜45円/kg以上の値上げを実施しており、価格も上がる・在庫もないという二重苦の状態です。

合材(アスファルト混合物)

合材については、毎年少しずつ上がっているので「今年も上がったか」という感覚で受け止めていた部分はあります。
ただ今回はナフサ問題に加えて燃料高騰の影響もあり、プラントのエネルギーコストが上がっているため値上がりのペースが例年より速いです。

舗装工事を受注している場合、設計時の単価と現状の調達価格が合わなくなっているケースが出てきています。
後述するスライド条項の確認が必要です。

断熱材・ルーフィング・塗料

カネカの住宅用断熱材は40%の値上げ、ルーフィングは5月以降40〜50%の価格改定が通知されています。
塗料・シンナーは日本ペイントが3月にシンナーを約75%値上げし、一部メーカーでは受注停止に至っています。

公共工事で塗装・防水が絡む案件は、材料承認願いで指定したメーカーの製品が手に入らないという事態も想定しておく必要があります。
実際に店舗在庫についてもシンナーは一斗缶が丸々そのコーナーから消えています。

鉄筋(異形棒鋼)

東京製鉄がエネルギー高を理由に鋼材を2〜5%値上げ、3月〜4月のわずか1ヶ月でトン当たり15,000円の急騰が起きています。構造物系の工事は数量が多いため、設計単価との乖離が一気に広がるリスクがあります。

ダンプの白ナンバー問題|現場入場できない事態も

資材不足と合わせて現場を悩ませているのが、ダンプの白ナンバー問題です。

緑ナンバー(営業ナンバー)を持たない白ナンバーのダンプは、有償での運搬業務が原則禁止です。
公共工事を中心に、元請けから「緑ナンバーでないと現場に入れない」という指示が出るケースが増えています。

下請けの運搬業者が白ナンバーのみで対応していた場合、急に緑ナンバーを取得するのは時間がかかります。
事前確認なしに進めると、資材を運べる車が来ない・現場に入れないという事態に直結します。
着工前に下請け業者の車両ナンバーを確認しておくことが今の現場では特に重要です。

※実際に合材運搬ダンプトラックの確保ができずに、以前なら一日100t打設できた現場が50tしかできずに舗設日数は増えていく、現場が終わっていかないという事態にもなります。

インフレスライドか単品スライドか|経営者として判断すべきポイント

資材の高騰が続く中、公共工事では「スライド条項」の活用が現実的な対応になってきています。

インフレスライドとは

工事全体の請負金額を物価変動に応じて改定する制度です。
一定の変動率を超えた場合に、発注者と協議して請負金額を見直せます。
適用できる条件・手続きは発注機関によって異なるため、早めに確認しておくことが重要です。

単品スライドとは

特定の資材(鉄筋・燃料・塩ビ管など)の価格が一定以上上昇した場合に、その資材分だけ請負金額を調整できる制度です。
インフレスライドより適用しやすいケースがあります。
どちらを使うかは設計単価との乖離状況・発注者との関係・申請期限を考慮して判断してください。

「ホームセンターで買えばいい」は公共工事では通用しない理由

資材が手に入らないと言うと「カインズやコメリで買えばいいじゃないか」と言われることがあります。
一般の方にはわかりにくい部分ですが、公共工事ではこれが通用しません。

公共工事では着工前に「使用材料承認願い」を発注者に提出します。
「このメーカーの、この製品を使います」と事前に協議して承認を受けた材料しか使えません。
市販品は規格・強度・品質が設計図書に合わない場合がほとんどで、承認なく代替品を使えば工事の瑕疵につながります。

「代わりに別の材料を使う」も「ホームセンターで調達する」も、発注者の承認なしには動けないのが公共工事の実態です。
この点は発注者側に理解してもらいながら、早めに協議するしかありません。

現場が止まると何が起きる|キャッシュフローへの直撃

資材が入らないと工程が止まります。工程が止まると竣工できません。
竣工しないと竣工検査が受けられず、竣工請求書が出せません。
請求書が出せなければ入金されません。

中小建設業者にとって、工事の完成が入金の起点です。
資材不足による工程遅延は、経営のキャッシュフローに直接ダメージを与えます。
複数の現場を抱えている場合は、どの現場の資材を優先確保するかの判断も経営者として求められます。

実際に自分が取った対処法|信州どぼくまの場合

「どうすれば良かったか」ではなく、実際にやったことをそのまま書きます。

①まず自社在庫の棚卸しから

最初にやったのは自社在庫の確認です。
倉庫の奥に眠っている資材を洗い出しました。
ただし塩ビ管は屋外で日焼けすると劣化して使い物にならなくなるため、保管状態の確認も同時に行いました。在庫があっても使えない状態では意味がありません。

②今後1年分の使用量を概算してメーカーに確保依頼

在庫確認が終わったら、今後1年で使いそうな径(VU φ50・100など)を現場ごとに概算で出して、ダメもとでメーカーに確保依頼を出しました。
確実に取れる保証はないですが、動かないよりは動いた方がいい。
取引のある商社経由で「優先的に回してほしい」とお願いするだけでも、関係値があれば対応してもらえることがあります。

③備蓄資材を屋内保管に切り替え

ブルーシート・大型土のう袋・対候性大型土のう・小型土のう袋は、台風シーズンや災害対応に向けて多めに備蓄しました。
使っていない物置(現場事務所小屋)が屋内保管場所として使えたので、そこに集約しています。

屋外保管だと日焼けや劣化で使えなくなる資材が多いので、屋内保管できる場所を確保しておくことが前提になります。

④車両のメンテナンス記録を再確認

資材だけでなく、車両も今回影響を受けています。
自社保有のダンプについて、営業担当から「オイル交換は本当に真っ黒になっていないと対応できない。エンジンオイル等も保有量の関係と、点検パック加入や日ごろから付き合いのある会社のお客様を優先している」というお達しが来ました。

これを受けて自社の全車両のメンテナンス記録を再度確認しました。
アドブルー(AdBlue)についても注意が必要で、「尿素水」とだけ表示されている製品は使用せず、必ずAdBlueとして認定を受けた製品を使うようにと営業担当からお達しがありました。
認定外の尿素水を入れると触媒系のトラブルにつながる可能性があるためです。

この記事のまとめ

  • イラン情勢によるホルムズ海峡封鎖でナフサが不足し、塩ビ管・プレスト管・断熱材・塗料・合材など幅広い建設資材が値上がり・供給不安定になっている
  • 今回一番困ったのは塩ビ管・プレスト管の「注文しても納期未定・仲卸在庫のみ」という状況。合材は毎年値上がりの延長線だが今回は速度が速い
  • ダンプの白ナンバー問題は資材不足と重なって現場の段取りをさらに複雑にしている。着工前の確認が必須
  • 公共工事ではスライド条項(インフレスライド・単品スライド)を早めに発注者と協議することが赤字回避の鍵になる
  • 対処の基本は「自社在庫の棚卸し→使用量の概算→メーカーへの確保依頼→屋内保管」の順。車両のアドブルー・オイル管理も今の時代は後回しにできない

状況は日々変化しています。
この記事は2026年4月時点の情報をもとにしていますが、最新の資材動向は取引先の商社・メーカーに直接確認することをおすすめします。

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